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備前屋コラム「日本酒の品評会とは?」を公開しました。

【はじめに】
日本酒の品評会は国内外でたくさんのコンテストがありますが、お酒を選ぶ時にどのように参考としたら良いのでしょうか?最近では、アメリカやイギリス、フランスなど海外で開催される品評会も増えていますので、品評会と出品酒の特長が分かりにくいかもしれません。
この記事では様々な品評会と、国内の四国地方において最も歴史が長く権威がある、四国清酒鑑評会について解説をします。

【日本酒の品評会とは?】
現在、日本酒の品評会は国内外でさまざまなコンテストが行われています。各地の日本酒専門機関の研究者をはじめ、蔵元や酒販店の中から選ばれた専門家らによって日本酒が評価されます。
評価の基準は品評会によって異なり、純粋に日本酒単体のレベルの高さを競うものや、食材や料理とのペアリングを前提に評価をするものもあります。

それらの数ある日本酒の品評会の中で、最も長い歴史と権威があるものは、国の専門機関である独立行政法人・酒類研究所が開催する「全国新酒鑑評会」と、国税庁と全国11カ所の地方国税局が主催する「清酒鑑評会」です。様々な品評会がある中で、公的機関が毎年開催するのはこの2つのみで、出品する蔵が最も多いものとなります。

前者の「全国新酒鑑評会」はその年に造られた新酒について、華やかな吟醸の香りや味わいを評価するものです。各地の蔵元は鑑評会に出品するためのお酒を造り、その製造技術の向上を目指します。
後者の「清酒鑑評会」は、その年に造られた日本酒を蔵元がある各地方の国税局で評価するものですが、地方によって部門が異なっており、大半は吟醸酒の部門や純米酒の部門に分かれています。こちらは市場で販売される市販酒も含めた、各地域の個性を尊重する品評会となります。

【四国清酒鑑評会とは?】
ここで、四国地方として高松国税局が開催するものが「四国清酒鑑評会」です。鑑評会の目的は次の通りとされています。
「清酒の品質評価等を通じて、管内清酒製造者の技術基盤の強化を図り、酒造技術の進歩・発展を促すとともに、市販清酒の品質向上と管内酒類業の発達に資することを目的としています。」(国税庁・高松国税局より抜粋)

四国清酒鑑評会では、「吟醸酒の部」と「燗酒の部(以前は純米酒の部)」の2つがあります。吟醸酒の部では製造技術の高さが、燗酒の部では燗酒や食中酒としての美味しさが評価の対象となります。
特に、燗酒の部は四国清酒鑑評会として独自の取り組みがされてきました。
2008年に市販の純米酒および純米吟醸酒を食中酒として評価、製造技術の向上を図る目的で、それまでの吟醸酒の部とは別に純米酒の部が新設されたのです。当初はその年のテーマの食材とのペアリングによる審査をしていましたが、のちに2016年から燗酒として評価をする燗酒の部となり、純米酒以外の出品も可能となりました。
例年、四国にある90の蔵元のうち多数が出品をしており、1つの製造場からは各部門に1点のみ出品することができ、複数の製造場を有する蔵元は複数点を出品することもできます。
高松国税局や研究機関、各地の蔵元も力を入れているため、全国の鑑評会の中でもレベルが高いとも言われます。

【審査と賞の種類は?】
四国清酒鑑評会の審査は、高松国税局の酒類鑑定のプロフェッショナルと言われる鑑定官をはじめ、酒質評価に関する経験と実績が認められた蔵元関係者らによって行われます。開催時期は毎年秋ごろで、新酒がひと夏を越えた秋上がりとして美味しい季節が選ばれます。
また、出品される日本酒のうち、特に優れたものには優等賞(最高位)が与えられます。平均的な優等賞の受賞率はおよそ30%で、蔵元が選んだ出品酒の中でも選ばれたものが受賞をすることとなります。

【評価方法は?】
評価方法はお酒の温度や室温を一定にした上で、手順も細かく決められています。
吟醸酒の部では、大吟醸酒を対象にお酒の温度を20℃前後として、華やかな吟醸香や整った味わいによって5段階で評価がされます。さらに、審査は2回に分かれており、1回目の1審を通過したものが、2回目の2審を経て受賞酒が決められます。

一方の燗酒の部(以前は純米酒の部)では、食中酒や燗酒としての香味、バランスが5段階で評価されます。吟醸酒の部とは異なり、華やかな吟醸香は評価の対象にはならないことも特徴で、「市場で飲んで美味しいお酒」が選ばれると言えます。
食材とのペアリングの評価では、対象のお酒をきき酒して評価し、食材を口に含んだ後再びきき酒をして、食材によって評価の変化があるかを判断されます。
毎年の食材は、開催1年目が出汁、2年目は赤身の刺身、3年目はカマンベールチーズ、4年目は生ハムが選ばれ、それぞれとの相性を審査されました。5年目には燗酒単体となり、それ以降は燗酒での評価となりましたが、お酒を開栓して瓶のままお湯で45℃に温め、燗酒としての香味の調和が審査されます。お酒の温め方や温度帯にも細心の注意をされていますので、ぬる燗で燗酒としての味わいが良く表れた状態での評価となります。このように、四国清酒鑑評会は長い歴史と日本酒のプロフェッショナルたちによる厳正な審査を経て、蔵元の製造技術の高さを評価する「吟醸酒」と、燗酒や食中酒にぴったりな「純米酒などの市販酒」が優等賞(最高位)を受賞することとなります。

2020年11月5日発表、令和2年度四国清酒鑑評会の優等賞(最高位)はこちらをご覧ください!

「美丈夫 特別純米酒が本年の四国清酒鑑評会で優等賞(最高位)を受賞しました。」
https://sake-bizenya.com/news/5fb78169f0b10851840d4492

「美丈夫 薫(かおる)が本年の四国清酒鑑評会で優等賞(最高位)を受賞しました。」
https://sake-bizenya.com/news/5fb78283df51596506add1eb

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https://sake-bizenya.com/inquiry